この博覧会で、特に記憶に残っているのが、べっ甲造りの「八大竜王神」と鯨のチンチンでした。
この竜王神は総べっ甲細工で、それに要した歳月は七十三年間、八十余頭のべっ甲亀が使用され、時価六千万円といわれる程の、見事なものでした。
この八大竜王神が、関門海底トンネルを最初に通り、博覧会の成功を祈念したのです。
いま翻って思いますと、実によい呼物を見付けたものです。鯨のチンチンといい、これらを東京で発見し、借りて来たのは、野末さんと思いますが、たいしたお手柄です。
このべっ甲像と同じ鋳像を、和布刈公園内の、めかり山荘の西側に建てています。
これは、このべっ甲細工の像の持主が、無償で出品して下さったので、その厚意を謝し、併せて博覧会を大成功に導いて下さったというので、この記念碑を建立したものと言われています。
今日まで、野末さんらで組織している「市友会」のお世話で、毎年この碑前で盛大なお祭りを開催しています。
私はいつも出席させて戴いています。そのたびに、この竜王神のお陰で、博覧会が大成功裡に終ることができたのだと思い、感謝している次第であります。
八大竜王神は雨乞のご本尊ということから、会期中雨が多かったのも、そのせいと思いますが、なんと言っても、農耕民では雨が大切です。
竜は豊作を約束し、商売繁盛といって尊ばれています。竜は昇天するもので成功を意味し、天皇のお顔を竜顔と申し上げるなど、大変お目出度いとのこと。
この竜神こそは、門司の今後の発展を祈念するにふさわしいものと思います。(本谷源治「門司トンネル博の思い出」)
建立の由来の大筋はこれで分かりましたね。トンネル博の会期は1958(昭和33)年3月20日〜5月25日ですが、梅雨の時期は外れているにかかわらず、67日間の会期中に25日も雨が降ったらしいんですが、なるほど面白い話です。この八大竜王神の鋳像が実物大であるなら、べっ甲細工のホンモノは相当に立派なものだったのでしょう。今もどこかの御宅にあるのでしょうが、一度見てみたいですね。

それにしても「鯨のチンチン」がどんなもんだったかが、やたら気になりますけど(笑)。




